今日は県庁で第1回の県原子力防災専門委員会が開催され、傍聴しました。これは原子力防災に関して専門家の指導・助言を受けるためのもので答申などを受ける予定はないようです。会議には経産省の原子力安全・保安院の担当者が出席し、現在の国の取り組み状況などに説明され、あわせて、滋賀と京都から出された国民的理解を得るための提言に対する国の再回答も資料として提出されました。会議では免震事務棟や防潮堤の設置などが実施されていない中での再稼動の検討にして委員から異論が出されました。他の委員からは有事の避難計画が確立されていない中での再稼動論議に対して疑問が投げかけられました。
今日の委員会では大飯原発再稼動のための三つの判断基準を中心に議論されましたが、現時点では総じて専門家の目から見ても安全が確認されたという状況にはないようです。
一方、委員会のあとで開催された県、関西電力、経済団体などの会合では経済界から夏の電力不足に対する不安、とりわけ計画停電や電力料金値上げによる影響は経済界にとっては深刻であるとの意見が出されています。電力不足が経済や市民生活に深刻な影響を与えるのは確かであり、どの時点で大飯原発をはじめ、定期点検で停止している原発の再稼動をするかの判断は極めて困難を伴う課題となりました。
原発の安全神話が崩れた今、絶対安全な原発とはだれも言い切れなくなりました。しかし、一方で安定した電力供給をするには代替えエネルギーが確保されていない現状の中、多くの国民の理解を得られた安全基準に基づきながら再稼動の判断をしなければならない時期が目前に迫っています。将来的に安定した国民生活を確保するためには直ちに原発廃止とはいかないとしても、段階的に「卒原発」あるいは「減原発」への道筋を示さなければなりません。多くの利害や思いが対立する中でありますが、政府としてもこの問題の先送りは決して許されません。